OpenCVと画像処理の原理や仕組みを学ぶメリットについて解説します。
画像処理とは
画像処理(Image Processing)とは、コンピュータを用いて画像に対して様々な処理を行う技術の総称です。
画像処理には大きく分けて以下2つの目的があります。
- 画像から画像への変換
- 画像の編集や加工、見やすさの改善を行うことです。
- 例えば、画像の拡大・縮小、高画質化、ノイズ除去などがあります。
- 画像から情報の取得
- 画像を分析し、有用な情報を抽出することです。
- 例えば、顔検出、自動運転技術における障害物認識、医療機器でのCT画像の分析などがあります。
「画像から画像への変換」を画像処理、「画像から情報の取得」をコンピュータビジョンと区別する場合もあります。
【例】画像から画像への変換(ガンマ補正で見やすく改善)
■入力画像(左)、出力画像(右)
→
■入力画像(左)、出力画像(右)
→
詳細:ガンマ補正で明るさ調整
【例】画像から情報の取得(カスケード型識別器で顔検出)
■入力画像(左)、出力画像(右)
→顔を探索→
■入力画像(左)、出力画像(右)
→顔を探索→
画像処理技術を学ぶメリットと課題
画像処理技術を学ぶメリットは以下のとおりです。
- 多様な応用分野
- 画像処理技術は、医療、セキュリティ、自動運転、エンターテインメントなど、さまざまな分野で応用されています。
- よって、学んだ技術を幅広い分野で活かすことができます。
- データ解析能力の向上
- 画像データは非常に多くの情報を含んでおり、解析手法も多種多様です。
- 画像処理技術を学ぶことで、データ解析スキルが向上し、画像以外の他のデータ解析分野でも役立つスキルを身につけることができます。
- 特に、自動運転技術など、リアルタイム処理を要求される画像処理技術は、高速な計算能力と効率的なアルゴリズムが求められます。
- 需要が高い
- 画像処理技術は、自動運転技術や生成AIなど、現在も急速に進化しています。
- 画像処理の専門知識を持つエンジニアの需要が高まっているため、就職やキャリアアップの機会が増えます。
【課題】
画像データからは、多くの情報を取得できるため、対応できる課題分野の幅が大きいことが特徴です。
ただし、データの情報量は多いため、データ処理の計算コストが高い、つまり「高価な計算機(コンピュータ)」や「高速な計算アルゴリズム」が必要となります。
特に、監視システムや自動運転車など、即時の反応が求められる用途では、画像データ(カメラ映像)をリアルタイムに処理することが求められます。
画像データからは、多くの情報を取得できるため、対応できる課題分野の幅が大きいことが特徴です。
ただし、データの情報量は多いため、データ処理の計算コストが高い、つまり「高価な計算機(コンピュータ)」や「高速な計算アルゴリズム」が必要となります。
特に、監視システムや自動運転車など、即時の反応が求められる用途では、画像データ(カメラ映像)をリアルタイムに処理することが求められます。
OpenCVとは
OpenCV(Open Source Computer Vision Library)は、画像処理やコンピュータビジョンを簡単に利用できるオープンソースライブラリです。
もともとIntelによって開発され、現在は広く利用されています。OpenCVの主な特徴は以下のとおりです。
- 多言語対応
- Python、C++、Java、Androidなど、さまざまなプログラミング言語で利用できます。
- Pythonとの相性が良く、OpenCVではNumPy配列を用いて画像データを処理するため、他の機械学習ライブラリと連携させることも簡単です。
- 豊富な機能
- 画像処理(フィルタリング、エッジ検出、変換など)
- 物体検出(顔検出、車両検出など)
- 動作解析(動体追跡、光学フローなど)
- 機械学習(分類、クラスタリングなど)
- リアルタイム処理
- 高速なアルゴリズムも豊富に提供されているため、例えばリアルタイムでの顔検出なども可能です。
- オープンソース
- OpenCVはオープンソースライブラリであり、ライセンスに従って無料で利用できます。
- コミュニティによって現在も継続的に開発・改善が行われており、最新の技術やアルゴリズムを簡単に取り入れることができます。
- 情報量の充実
- OpenCVには公式の豊富なドキュメントやチュートリアルが用意されています。
- 日本語の学習サイトや書籍も充実しており、初心者から上級者まで、幅広いレベルの学習者が効率的に学ぶことができます。
OpenCVを使うのは簡単だが、併せて仕組みを学ぶことも重要
例えば、冒頭で紹介した「ガンマ補正を用いた画像の見やすさ改善」や「カスケード型識別器を用いた顔検出」をPythonとOpenCVで実装した場合、コードは以下のようになります。
ガンマ補正のサンプルコード
顔検出のサンプルコード
OpenCVは非常に使いやすく、画像処理の仕組みを知らない人でも、上記のようなネットや書籍のサンプルコードをコピペすれば簡単に画像処理をプログラムで実装することができます。
しかし、画像処理を産業に応用したり、研究で利活用する場合、画像処理の原理や仕組みを理解することは、以下の理由から非常に重要です。
- 問題解決能力の向上
- 画像データは多種多様であり、少し条件が変わると「顔検出できなくなった、ノイズ除去が期待どおりにならない」など、うまく結果が出ないことも少なくありません。
- 画像処理アルゴリズムの仕組みを理解することで、例えばどのパラメータを調整すべきか、別の手法を使うべきかが分かるようになります。
- 効率的な実装
- 画像処理の応用分野、解析手法は多種多様です。画像処理の仕組みを理解し、それぞれの問題に対して、最適な方法を選択することが求められます。
- 特に、自動運転や監視システムなど、リアルタイム処理が求められる場合、計算コストの低いアルゴリズムを選ぶことも重要です。
- カスタマイズと拡張
- 特定のニーズに合わせて既存のアルゴリズムを改良したり、新しいアルゴリズムを開発したりする際、画像処理の仕組みを理解していることが必要不可欠です。
そのため、本サイトではPython版OpenCVの使い方について、以下ページやYoutube動画で画像処理の仕組みと併せて解説を行っています。
【Python版OpenCV超入門】使い方とサンプルコードを解説
Python版OpenCVで画像処理プログラミングを行う方法を入門者向けにソースコード付きで解説するページです。
【画像処理入門】アルゴリズム&プログラミング
画像処理における基本的なアルゴリズムとその実装例(プログラム)についてまとめました。
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